根管治療したのに、まだ噛むと痛い|DIAGNOSTIC FILE 001

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DIAGNOSTIC FILE 001

根管治療したのに、
まだ噛むと痛い。

「治療は終わっています」
「もう少し様子を見ましょう」

そう言われたけれど、
食事をすると、その歯だけ気になる。
反対側で噛むようになった。
硬いものを避けるようになった。

もう一度、根管治療をする前に。
その痛みは、本当に「根管の中」が原因でしょうか。

01いまの状態

治療は終わった。
でも、自分の中では終わっていない。

治療前よりは、良くなった。
でも、噛むとまだ痛い。

レントゲンでは「大きな問題はない」と言われた。
それでも、痛みは残っている。

様子を見るように言われたまま、時間だけが過ぎている。
あるいは、「もう一度、根管治療をしましょう」と言われた。

  • 「このまま待っていていいのだろうか」
  • 「もう一度治療すれば、本当に良くなるのか」
  • 「歯にヒビが入っているのでは」
  • 「最後は抜歯になるのでは」

知りたいのは、根管治療の一般論ではないはずです。

「では、自分のこの痛みは、何なのか。」

このページでは、そこを整理することから始めます。

02原因の整理

治療法を決める前に、
「なぜ痛いのか」を確かめる。

同じ「根管治療後の痛み」に見えても、痛みの出どころはひとつではありません。大きく分けると、次の3つがあります。

A根管の中

再根管治療で対処できる範囲

  • 根管の中に残った細菌・再感染
  • 処置しきれていない根管

B歯の根や、その周り

  • 根の先の外側に残る病変
  • 歯根のヒビ・破折
  • 歯ぐき(歯周組織)の問題
  • かみ合わせ・被せ物の高さ

Cその歯以外

  • 隣の歯
  • あごの筋肉・関節
  • 神経に由来する痛み
  • 上顎洞(上の奥歯の場合)

再根管治療で対処できるのは、
主に「根管の中」の原因です。

痛みが根管の外や、その歯以外から来ているなら、根管治療をやり直しても痛みが残ることがあります。だからこそ、やり直す前に確かめます。

※原因の候補を整理した一例です。すべてを網羅するものではなく、症状や診査所見によって評価は異なります。

03確かめる順番

痛みの原因を、
どう確かめていくか。

  1. 痛み方を分ける

    何もしなくても痛むのか、噛んだときだけか。治療直後から続いているのか、一度おさまってから戻ってきたのか。痛み方の違いは、原因を考える最初の手がかりになります。

  2. 画像と症状が一致するかを見る

    レントゲンやCTに影があっても、それが今の痛みの原因とは限りません。逆に、画像には写りにくい原因もあります。

    影

    影は根の先だけ

    根の先の病変を考える。治っている途中のこともある。

    影

    根の片側に沿って骨がない

    歯根の破折を疑う。

    影の出方で、考える原因が変わります。(模式図:手前側の根を、頬側と舌側の方向に切った断面。左が頬側)
  3. やり直すことで良くなる根拠があるか

    「根管治療をした歯だから、もう一度根管治療」ではなく、やり直すことで改善が見込める理由があるかを確かめます。

  4. 根管以外の可能性を残しておく

    歯根のヒビ・破折、歯ぐき、かみ合わせ、隣の歯など。必要に応じて、ひとつずつ確かめます。

04実際の症例

再根管治療の前に、
何を確かめたか。

ここからは、実際の症例をひとつ取り上げます。治療がうまくいったかどうかではなく、何を見て、何を疑い、何を除外し、どう判断したかを記録しています。

CASE FILE 001掲載にあたり、ご本人の同意を得ています
年代・性別
40代・女性
部位
下の左奥歯(第一大臼歯)
主な症状
「根管治療が終わって3か月たつのに、噛むと鈍く痛む。その歯で硬いものが噛めない」
これまでの経過
1年前に根管治療を受け、被せ物をした。3か月前から、噛んだときの痛みが続いている。前医では経過観察のあと、再根管治療を提案された。

患者さんが最初に知りたかったこと

「また根管治療をすれば、
この痛みはなくなるのでしょうか?」

根管治療後の左下の奥歯のデンタルX線写真(初診時)
手前側の根(近心根)の先に、小さな影(透過像)があります。この影が、今の痛みの原因なのかを考えました。

歯科医師 本山直樹の診断ノート

なぜ、すぐにやり直さなかったのか。

この症例で、実際に考えた順番です。

  1. 最初に疑ったこと

    根管治療後も噛むと痛く、X線で根の先に影があることから、まず根管の中に細菌が残っている可能性(再感染)を考えました。同時に、「噛んだときだけ痛む」という点から、歯根の破折とかみ合わせも候補に入れました。

  2. 画像で注目したところ

    近心根の先に小さな透過像がありました。前医での治療前のX線がないため、この影が治療前より小さくなっているのかは分かりません。そこで、根管治療から1年という時期、影の大きさ、根管の詰め物が根の先まで届いているかを確認しました。あわせて、破折のときに見られやすい、根の片側に沿った細長い影がないかも見ました。CTでも、影が根の先に限られていて、根の片側に沿った骨の欠けはないことを確認しました。

  3. 疑わなかったこと・優先度を下げたこと

    腫れや、歯ぐきにできる膿の出口(サイナストラクト)はなく、何もしなくても痛むこともありませんでした。そのため、根の先の強い炎症は優先度を下げました。隣の歯は検査への反応が正常だったので、隣の歯が原因の痛みも優先度を下げました。

  4. 除外した可能性

    歯ぐきの溝の深さを歯の全周で測り、一か所だけ深い部分がないことから、破折の可能性は低いと判断しました。破折は検査だけで完全には否定できないため、経過の中で確認を続ける前提にしました。

  5. 追加で確認したこと

    かみ合わせを確認したところ、被せ物が高く、あごを横に動かしたときに強く当たっていました。その部分を調整し、痛みがどう変わるかを見ました。

  6. 判断:再根管治療を「する/しない」と決めた理由

    根管治療からまだ1年です。根の先の影は、治療後に時間をかけて小さくなっていくことが多く、1年の時点で影が残っていても、治っている途中の可能性があります。腫れやサイナストラクトもないことから、この影を理由に、すぐに再根管治療を行う必要性は低いと判断しました。

    この段階で再根管治療を選ぶ考え方もあります。ただ、治っている途中の歯をやり直すことにも負担があります。今回は再根管治療を行わず、かみ合わせを調整したうえで、経過を見ることにしました。影が大きくなる、腫れやサイナストラクトが出るなどの変化があれば、その時点で再根管治療を改めて検討します。

その後の経過

2週間後に来院していただき、噛んだときの痛みが気にならない程度になっていることを確認しました。初診時のX線を基準にして、今後も影の変化を確認していきます。

この症例で行った治療について

治療内容
かみ合わせの調整、経過観察
費用
セカンドオピニオン費用(22,000円・税込)に含まれます
期間・回数
セカンドオピニオン1回(かみ合わせの調整を含む)、経過観察1回
主なリスク
かみ合わせの調整後に、一時的に歯がしみることがあります。経過観察中に症状が悪化した場合は、再根管治療などが必要になることがあります。

同じ「噛むと痛い」でも、
別の歯では、別の結論になることがあります。

05考え方

歯を残すことと、
何でも治療することは、同じではありません。

  • 治療法から入らない

    まず、今の症状と診査所見を整理します。

  • 「残せるか」だけで決めない

    残したあと、その歯で噛み続けられるかまで考えます。

  • 決めるための材料を渡す

    治療する・しないを含めて、判断に必要な情報をお伝えします。

06ご自身の歯について

では、
私の歯の場合は?

このページだけで、あなたの歯を診断することはできません。同じ「噛むと痛い」でも、治療の経過、画像、症状、歯の状態によって、考えるべきことは変わるからです。

再根管治療は、通院の回数も時間もかかり、歯にも負担のかかる治療です。始める前に、その治療が今の痛みに合っているのかを確かめる。そのための対面セカンドオピニオンです。

セカンドオピニオン(対面)

治療を受けるかどうかを、決めるための60分。

  • これまでの治療の経過と、今の症状をうかがいます
  • CT等で、歯とその周りの状態を確認します
  • 考えられる原因と選択肢を、治療をしない選択も含めてご説明します
時間
60分
費用
22,000円(税込)CT等の診査費を含みます
場所
ラウムデンタルクリニック川崎市中原区上小田中5-2-5 ラウム武蔵中原A棟1階
JR南武線 武蔵中原駅 北口 徒歩1分
診療日
火曜・日曜・祝日

相談だけで終えても構いません。
その場で治療を決める必要はありません。

ネット予約の方法

  1. 先に、下の言葉をコピーしておきます。
  2. ボタンから医院のページを開き、ネット予約に進みます。
  3. 日付は火曜・日曜・祝日からお選びください。(本山の診療日です)
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本山先生 セカンドオピニオン希望

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お電話の場合044-751-8217「本山先生のセカンドオピニオン希望」とお伝えください。

自由診療(保険適用外)です。診査の結果により、ご提案する内容は異なります。

歯科医師 本山直樹

監修・診療

歯科医師 本山直樹

歯内療法(根管治療)を中心に診療しています。

根管治療は、やり直すたびに歯を削り、その歯を残せる余地を少しずつ減らしていきます。だからこそ、次に何をするかは、「どう治療するか」ではなく、「なぜそうなっているのか」から決めたいと考えています。後悔する抜歯を減らすために、私がいちばん時間をかけているのは、治療の前の診断です。

略歴
  • 2004年 神奈川歯科大学 歯学部 卒業
  • 2022年 日本歯内療法学会 歯内療法専門医 取得
  • 2023年 医療法人社団玲瑠会 ラウムデンタルクリニック 非常勤
  • 日本大学 松戸歯学部 歯内療法学講座 研究生
  • 歯科医師臨床研修 指導医
所属学会
  • 日本歯内療法学会
  • 日本臨床歯科CADCAM学会

本ページは、根管治療後の痛みについての一般的な情報と、実際の症例での考え方を紹介するものです。個々の歯の状態は、診察・検査を行わなければ判断できません。