「抜歯しかない」と言われた。本当に残せない?|DIAGNOSTIC FILE 002

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DIAGNOSTIC FILE 002

「抜歯しかない」と言われた。
本当に残せない?

「この歯は、もう抜くしかないですね」
「インプラントかブリッジを考えましょう」

そう言われて帰ってきた。
でも、痛みはそれほどない。見た目も変わらない。
本当に抜くしかないのか、決めきれない。
抜いたら、もう戻せない。

抜く前に。
その歯は、本当に「残せない歯」でしょうか。

01いまの状態

「抜きましょう」と言われた日から、
その歯のことばかり考えている。

痛みや腫れがあって受診したら、「この歯は残せない」と言われた。
あるいは、痛みはないのに、レントゲンを見て抜歯を勧められた。

説明は受けた。
でも、なぜ残せないのかは、よく分からなかった。

  • 「抜いたら、もう元には戻せない」
  • 「本当に、ほかの方法はないのか」
  • 「インプラントやブリッジの費用や負担が心配」
  • 「別の歯科医院に相談するのは失礼では」

知りたいのは、抜歯の一般論ではないはずです。

「では、自分のこの歯は、本当に残せないのか。」

このページでは、そこを整理することから始めます。

02理由の整理

抜くかどうかを決める前に、
「なぜ抜歯なのか」を確かめる。

同じ「抜歯しかない」でも、そう判断された理由はひとつではありません。大きく分けると、次の3つがあります。

A根の中や、根の先の病気

治療で残すことを検討できる範囲

  • 根の先の大きな影(根尖病変)
  • 根管の中の再感染
  • 根管の詰まりや、折れた器具が残っている

B歯の根と、支える骨

  • 歯根のヒビ・破折(位置と範囲による)
  • 残っている歯の量が少ない
  • 歯周病で、支える骨が減っている

C残したあと、噛めるか

  • 被せ物を支えられるか
  • かみ合わせの負担
  • 長く使えるかの見通し

「抜歯しかない」の理由が、どれにあたるかで、
考えるべきことは変わります。

理由がAなら、根管治療のやり直しや、外科的な歯内療法で残すことを検討できる場合があります。BやCは、歯の状態によって判断が分かれます。だからこそ、抜く前に確かめます。

※抜歯と判断される理由を整理した一例です。すべてを網羅するものではなく、症状や診査所見によって評価は異なります。

03確かめる順番

残せるかどうかを、
どう確かめていくか。

  1. 抜歯と言われた理由を確認する

    「なぜ抜歯なのか」を、できるだけ具体的に確認します。前医の説明や画像があれば、それも大切な手がかりになります。

  2. 画像で、歯と支える骨を見る

    レントゲンだけでは、影の広がりや骨の状態が分からないことがあります。必要に応じてCTで、根の形や病変の範囲、破折を疑う所見がないかを確認します。

  3. 残したあと、噛めるかを考える

    治療で病気を抑えられても、被せ物を支える歯の量が足りなければ、長く使えないことがあります。残せるかだけでなく、残したあとも噛めるかを考えます。

  4. 残す・抜く、それぞれの先を比べる

    残す場合と抜く場合、それぞれの治療の回数、費用、その後の見通しを並べて比べます。抜歯がよい選択になることもあります。

04実際の症例

「抜歯しかない」と言われた歯で、
何を確かめたか。

ここからは、実際の症例をひとつ取り上げます。治療がうまくいったかどうかではなく、何を見て、何を疑い、何を除外し、どう判断したかを記録しています。

CASE FILE 002掲載にあたり、ご本人の同意を得ています
年代・性別
50代・男性
部位
下の左奥歯(第一大臼歯)
主な症状
「噛むと違和感があり、ときどき歯ぐきが腫れる」
これまでの経過
10年以上前に根管治療を受け、被せ物を入れた。数か月前から違和感と腫れが出て受診したところ、「根の先の病気が大きいので、抜歯してインプラントにしましょう」と言われた。

患者さんが最初に知りたかったこと

「この歯は、
本当に抜くしかないのでしょうか?」

初診時の左下の奥歯のデンタルX線写真
初診時 根の先を中心に、大きな影(透過像)が広がっています。根の中には金属の土台が入っています。
再根管治療後の左下の奥歯のデンタルX線写真
再根管治療後2年 影は目立たなくなり、根の先の周りに骨の模様が見えています。

歯科医師 本山直樹の診断ノート

なぜ、抜かずに残す判断をしたのか。

この症例で、実際に考えた順番です。

  1. 抜歯と言われた理由

    前医では、主に根の先の影が大きいことから、抜歯と判断されていました。金属の土台が入っていて、根管治療のやり直しが難しいことも、理由として挙げられていました。影の大きさは、抜歯を考える理由としてよく挙がるものです。

  2. 画像で注目したところ

    影の大きさよりも、影の形と位置を見ました。影は2本の根の先を中心に広がっていて、根の片側に沿って縦に伸びる形ではありませんでした。根管の詰め物は、画像上、大きな不足は見られませんでした。CTでも、破折を疑う骨の縦の欠けはありませんでした。

  3. 残せる可能性を考えた根拠

    影が根の先を中心に広がる形は、根管の中の感染が原因のときによく見られます。詰め物がきれいに見えても、根管には枝分かれや細いすき間があり、そこに細菌が残ることがあります。長く使われた被せ物や土台のすき間から、細菌が入り込むこともあります。原因が根管の中の感染であれば、根管治療のやり直しで改善を見込める根拠になります。影が大きいことだけでは、残せないとは言えません。

  4. 除外した可能性

    歯ぐきの溝の深さを歯の全周で測り、一か所だけ深い部分はありませんでした。画像とあわせて、歯根の破折の可能性は低いと判断しました。歯の周りの骨の高さも保たれていて、歯周病で支えが失われている状態でもありませんでした。

  5. 残したあと、噛めるかの見通し

    土台を外したあとに、被せ物を支えられるだけの歯が残るかを考えました。画像上、歯の壁は十分な厚みが残っていると判断しました。古い被せ物と土台を外し、新しい被せ物に作り直す前提にしました。

  6. 判断:「残す/抜く」と決めた理由

    抜歯の理由になっていた大きな影は、根管の中の感染で説明できると考えました。破折や歯周病など、残すことが難しい理由は見つかりませんでした。そこで、抜歯ではなく、土台を外して根管治療をやり直すことを提案しました。

    ただし、土台を外すときに歯が割れる可能性や、やり直しても影が残る可能性もあります。その場合は、外科的な歯内療法や、抜歯を改めて検討することも含めて説明し、患者さんに選んでいただきました。

その後の経過

土台を外して再根管治療を行い、新しい被せ物を入れました。2年後のX線では、根の先の影は目立たなくなり、骨の模様が見えています。噛んだときの違和感や腫れは出ていません。今後も定期的に確認していきます。

この症例で行った治療について

治療内容
土台の除去、再根管治療、土台の作製(築造)、被せ物
費用
根管治療165,000円、築造27,500円、被せ物165,000円、処置料11,000円/回(すべて税込)
期間・回数
根管治療3回(1回90分)、被せ物まで約3か月
主なリスク
土台の除去時に歯が割れる、根に穴が開くことがあります。治療後も影が残ったり、再び大きくなったりした場合は、外科的な歯内療法や抜歯が必要になることがあります。

同じ「抜歯しかない」でも、
別の歯では、別の結論になることがあります。

05考え方

歯を残すことと、
何でも治療することは、同じではありません。

  • 治療法から入らない

    まず、今の症状と診査所見を整理します。

  • 「残せるか」だけで決めない

    残したあと、その歯で噛み続けられるかまで考えます。

  • 決めるための材料を渡す

    治療する・しないを含めて、判断に必要な情報をお伝えします。

06ご自身の歯について

では、
私の歯の場合は?

このページだけで、あなたの歯を診断することはできません。同じ「抜歯しかない」でも、そう判断された理由、画像、歯の状態によって、考えるべきことは変わるからです。

抜歯は、やり直しのできない治療です。抜く前に、残せる可能性と、残した場合の見通しを確かめる。そのための対面セカンドオピニオンです。

セカンドオピニオン(対面)

治療を受けるかどうかを、決めるための60分。

  • これまでの治療の経過と、今の症状をうかがいます
  • CT等で、歯とその周りの状態を確認します
  • 残す・抜く、それぞれの選択肢と見通しを、ご説明します
時間
60分
費用
22,000円(税込)CT等の診査費を含みます
場所
ラウムデンタルクリニック川崎市中原区上小田中5-2-5 ラウム武蔵中原A棟1階
JR南武線 武蔵中原駅 北口 徒歩1分
診療日
火曜・日曜・祝日

相談だけで終えても構いません。
その場で治療を決める必要はありません。

ネット予約の方法

  1. 先に、下の言葉をコピーしておきます。
  2. ボタンから医院のページを開き、ネット予約に進みます。
  3. 日付は火曜・日曜・祝日からお選びください。(本山の診療日です)
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本山先生 セカンドオピニオン希望

この記入がないと、一般の診療として予約され、本山の相談枠になりません。

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お電話の場合044-751-8217「本山先生のセカンドオピニオン希望」とお伝えください。

自由診療(保険適用外)です。診査の結果により、ご提案する内容は異なります。

歯科医師 本山直樹

監修・診療

歯科医師 本山直樹

歯内療法(根管治療)を中心に診療しています。

根管治療は、やり直すたびに歯を削り、その歯を残せる余地を少しずつ減らしていきます。だからこそ、次に何をするかは、「どう治療するか」ではなく、「なぜそうなっているのか」から決めたいと考えています。後悔する抜歯を減らすために、私がいちばん時間をかけているのは、治療の前の診断です。

略歴
  • 2004年 神奈川歯科大学 歯学部 卒業
  • 2022年 日本歯内療法学会 歯内療法専門医 取得
  • 2023年 医療法人社団玲瑠会 ラウムデンタルクリニック 非常勤
  • 日本大学 松戸歯学部 歯内療法学講座 研究生
  • 歯科医師臨床研修 指導医
所属学会
  • 日本歯内療法学会
  • 日本臨床歯科CADCAM学会

本ページは、抜歯と判断された歯についての一般的な情報と、実際の症例での考え方を紹介するものです。個々の歯の状態は、診察・検査を行わなければ判断できません。